うさぎ座とはと座〜去り行く冬の一等星たちと春の一等星が同時に!

さて、はと座です。

はと座は、うさぎ座よりもさらに低いところにある星座です。
それなりに面積のある星座なんですが、あまり明るい星がないうえに低い位置にあることもあって、空が暗く、かつ、南側の開けた場所でないと、確認するのはかなり難しい星座です。
ですから、ここ遠州地域なら海岸で見るのがお勧めです。

先ほどお話しした、オリオン座の下にあるうさぎ座の、さらに下を見ていくと、アルファベットのYの字が横倒しになったような星の並びが見えます。これがはと座です。

このYのかたち、地平線に立てかけた傘のようだ、と表現するひともいまして、こっちのほうイメージしやすいかもしれません。

なにしろ南の空低いところにあって、しかもあまり明るい星がないので、かなり見つかりにくい星座です。
そのうえ、そうやって線を結んでも、なぜこれが鳩の姿になるのか、も、かなり難しいです。こんにちよく見かける星座絵ではオリーブの葉をくわえた鳩の姿で描かれているんですが、なかなかそんなふうには見えないんですよね。

Lepus_Columba-02

←はと座の探し方
(gifアニメーション/クリックで拡大)

じつは、はと座は、うさぎ座が非常に古い歴史を持つのとは対照的に、新しい星座なんです。

もともとおおいぬ座だった領域を分けて作られた星座で、17世紀ごろに成立したと言われています。まあ、ですからちょっと無理があるのもしかたないかも知れませんし、新しい星座ですから「神話」もないというわけなんです。

ただ、この星座のすぐ左に、先日ご紹介したアルゴ座がありまして、この巨大な帆船アルゴ号を、旧約聖書に出てくるノアの箱舟に見立てて、このお話に出てくる鳩を表したものだ、ともいわれます。

ノアの箱船は、旧約聖書の『創世記』に登場する物語。有名なお話ですからご存知と思います。

人々が堕落して、地上に悪がはびこるようになり、それに怒った神が、大洪水を起こして人間を滅ぼすことにします。
ただし、心正しいノアの一族だけは助けることにしました。神はノアに命じて、大きな箱船を作らせ、すべての生き物をひとつがいづつ乗り込ませた、というお話です。

やがて大洪水をもたらした雨はあがります。ですが、箱船は果てしない海のまっただ中、陸地はどこにも見えません。

ノアは様子を見るために、まず、カラスを放しますが、とまれる所がなくて帰ってきます。
次にノアは鳩を放します。すると、ハトはオリーブの若葉をくわえて戻ってきました。これによってノアはどこか近くに陸地があることを知り、箱舟は無事、アララト山のいただきにたどり着いたとされています。

いまでもよく使われる「鳩とオリーブの葉」というモチーフはここからきているんですね。

じつはギリシャ神話にも、ハトとアルゴ号が関係するお話があるんです。

アルゴ号はギリシャを出発してエーゲ海を渡って。黒海へ入っていきます。
(ちなみに、この黒海の奥、向かって正面にあるのが、いま問題になっているクリミア半島です)
この時代、黒海の入り口にあったとされるのが「打合い岩(シュムプレーガデスの岩)」という難所。
2つの巨大な岩がそそり立っていて、その間を通り抜けようとするものがあると、両側から閉じて押しつぶしてしまう、という恐ろしい場所です。

ここを通り抜けるにあたって、アルゴ号の一行は、まず1羽の白い鳩を先に飛ばします。
岩は鳩を狙ってものすごい勢いで閉じます。鳩は尾羽を少し失いましたが無事通り抜けます。
この、いったん閉じた岩が開きかけたタイミングを狙って、アルゴ号は全速力で突っ込みます。そして首尾よくこの難所を突破することに成功するんです。

(ちなみに、アルゴ座には船尾とりゅうこつがあるのに船首がないんですが、これはこの「打合い岩」を突破した時、アルゴ船は船尾を先にして、つまり後ろ向き進んでいて、ぎりぎりのところで船首を岩に挟みとられた、それでアルゴ座には船首がないのだともいわれています。)

このお話や、さきほどの、うさぎをオリオンから救うことになった鳩のお話のほうが、夜空の物語のバランスとしてはいいんじゃないかと思うんですがねえ、そうはうまくいきませんです。

いずれにしましても、隣り合っていながら、かたや2千年以上の歴史をもつうさぎ座、かたや17世紀にできた新しい星座、はと座。夜空にはほんとにいろいろな星座があるんですねえ。

いかがでしょう。そんなことを思いながら、晴れた夜には、星をみあげてみませんか。

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