この12月1日から改正道交法が施行され、自転車の通行ルールが一部変更になります。改正される点についてはもちろんのこと、知ってるようで知らない自転車のルールをまとめてみました。
☆今回の改正点は
「自転車が路側帯を通行する場合は、道路の左側部分に設けられた路側帯を通行しなければなりません。」
今回の改正のポイントはこれ。
なんですが、これだけではちょっとわかりにくいんです。
☆「路側帯」とは、「歩道」とは
これを混同している方、結構いらっしゃるかもしれません。これは、まず「歩道とは何か」から考えていくと理解しやすいんです。
「歩道」とは、車道に併設して、縁石やガードレールがあったり、あるいは一段高くなっているなど、なんらかの工作物によって、歩行者の通行のために構造的に区画された道路の部分をいいます。例えば左の写真がそうです。
こうした構造物がなく、路面に白線を引いただけの道もありますよね。これが「路側帯」です。
ここも基本的には歩行者のために設けられたものですから、言葉の意味としては「歩道」に違いないのですが、法律上は歩道ではなく路側帯と言います。
そして、この部分は自転車が通行してもよいことになっています。
(ただし、二重線で書かれた路側帯は歩行者専用ですから、自転車は侵入してはなりません)
☆今回の改正に関係しているのは「路側帯」です。
これまで、自転車は道路の右側の路側帯を通行してもよいことになっていました。
しかし、この冬、平成25年12月1日から施行される改正道路交通法によって、そうした通行は違反となり、罰則として、3か月以下の懲役または5万円以下の罰金が科せられることになります。
とりあえず、これで冒頭の「自転車が路側帯を通行する場合は、道路の左側部分に設けられた路側帯を通行しなければなりません。」の意味はわかりました。
☆自転車は車道を通行しなければならない?
ところが…、ここまでは良いとしても、問題はこの見出しのとおり、「そもそも自転車はどこを走ればいいのか?」なんですね。
「自転車は車道を通行するのが原則」はい、これはたしかに基本です。ただ、この基本概念が浸透した結果(このこと自体は良いことだと思うのですが)、「どこであろうと車道の左側を通らなければいけない」とまで思い込んでしまっている方も多いのではないでしょうか。
でも、原則にとらわれすぎてしまってはかえって危険なこともあるのです。
☆「自転車は車道」はあくまで原則
原則はあくまで原則であって、「自転車は車道しか通行してはならない」なんてことはありません。
じっさい、「路側帯」は車道とは分離された存在であり、意義的には歩道に近いものです。ですが、上記の通り、歩行者専用の路側帯を除いて、左側通行を守れば通行できます。
(ただし、歩行者優先。安全な速度と方法で通行すること。これは大前提です)
さあ、それでは。
「歩道」はどうなのか?です。
道路交通法では、自転車は「軽車両」と位置づけられています。つまり、広い意味ではクルマやバイクの仲間。したがって、歩道と車道の区別のあるところでは車道通行が原則です。そして、車道は左側通行するのが日本の道路の決まりです。
しかしながらこれには例外があります。
そして、この例外が大きな意味を持っているんです。
☆「例外」といってもじつは意外に…
この例外とは、
・道路標識等で指定された場合
・運転者が13歳未満の子ども、70歳以上の高齢者、身体の不自由な方の場合
・車道または交通の状況からやむを得ない場合
です。
あえて下から説明すると、やむを得ない場合とは、たとえば、路肩にクルマがとまっていて、車道側にふくらんで避けて通るのは危ないような場合のことです。そりゃそうだ、ですよね。
それから、年齢についてや身体の不自由な方に関する例外。これもなるほど、です。
さて残ったのが「道路標識等で指定された場合」。
これがその標識です。普通の道路標識に比べてひと回りくらい小さいのでちょっと目立ちにくいのがやや難点ではありますが、意味は一目瞭然ですね。「歩行者と自転車がともに通行する」ことをあらわした標識です。
これは「自転車及び歩行者専用」の標識といい、この標識がある歩道のことを道路法では「自転車歩行者道」といいます。ただし道路交通法でこの用語は使われません。「自歩道」と呼ぶことも多いです。(「道路法」と「道路交通法」という別々の法律があるんです、ややこしいですが…)
この標識のある歩道は、自転車の通行が可能です。
で…じつは、この標識がある歩道、意外に多いんです。
もちろん地域ごとの道路事情によりますから一概に決めつけることはできないのですが、ぼくの住む地域では、幹線道路や交通量の多い道路の歩道にはほとんどこの標識があります。
そして、このクルマの量と流れのスピードでは、歩道を通ったほうが安全そうだよなあ、と思えるような場所も多いんです。
じっさい、地元の警察署の交通課の方にうかがったところ、そのような場所ではぜひ歩道を通行してください、とのことでした。
(あくまで、ぼくの住む地域では、のお話ですのでご注意下さい。)
☆「例外」が安全なこともある
そうなんです、「例外」という言葉からは、ともすれば、「ルールを破っても特別に許してもらえるケース」みたいなイメージを持ってしまいがちですが、そうではなく、そのほうが安全ならむしろ歩道を通行したほうがよい、ということだってあるんです。
もちろん、何度も書きますが歩行者を優先して安全に走行することは大前提のあたりまえ、ですし、歩道を走行すると、路地から出てくるクルマと出会い頭で接触する危険性も高まります。
そのあたりはじゅうぶん考慮してくださいね。
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☆歩道を走らなければいけない場所もある
これは意外かも?ですが、左のような場所もあります。この例では歩道の一部が自転車道になっており、このような場所では自転車は「ここを通行しなければならない」のです。
こうしたレーンが車道側に設置されている例も少なくありません。このようなケースでは必ず自転車用のレーンを通行しましょう。
☆歩道も左側通行がおすすめです
さて。今回の道交法改正で、路側帯が左側通行のみになったのはわかったけど、「じゃあ歩道はどうなの?」という疑問がとうぜん湧いてきます。
じつは、道交法にはその規定がありません。したがって、自転車が走行可能な歩道を右側通行しても、道交法違反にはなりません。
ここは現状のグレーゾーンといいますか、法改正が及んでいない部分と考えるべきなのでしょう。(ですから、いずれ規定されることはおおいに考えられます)
ただ、いずれにせよ、なによりも優先して考えなくてはならないのは「危険の防止」です。
「違反でないのならいいだろう」という気持ちで危険な走行をしてしまい、そのあげく事故に至ってしまっては元も子もありません。
さまざまな条件から、歩道も左側を通行することがより安全な走行につながるのではないかということはおおいに考えられます。
したがって、このブログでは、通行可能な歩道でも基本的に左側走行することをおすすめします。すなわち、
「違反かどうか」より「安全かどうか」が大事
ということですね。
さて、最後に、自転車の走行に関して誤解されがちなことを、もうひとつご案内します。
☆「車道外側線」って知ってました?
歩道と車道の間に白線が引かれていて、走行レーンのように見える場所をよく見かけます。
「自転車通行可能の標識がない歩道」の車道側にこの線が引いてあると、自転車はここを通れということかな、なんて思ってしまいがちです。
これ、自転車で走っているとホントにそんなふうに見えるんですよね。
でも、そんな規則はありません。
この線は「車道外側線」といいます。この道路にもしも歩道がなければ、これが路側帯を示すことになるのですが、歩道がある場合は、車両に対して、「端に寄りすぎると危ないからこの線より右側を通ってくださいね」というような目安を示している線なのです(こうした類を「区画線」といいます)。
車両にたいして、ということは…自転車も車両なのですから、ここより左側は歩道に近すぎて危ないですよ、と言っている線なのですね。
じっさい、ちょっとハンドルを取られたら縁石に乗り上げかねないし、水はけのために角度がついていたり、排水口があいていたり、危ない所もずいぶんあります。
とはいえ、逆に「ここを通ったほうが安全そう」なケースもやはりあったりします。
結局のところ、やはり「どこを走るのが安全か」をつねに考えて走行するのがベスト、と言えそうですね。
自転車も自動車もくれぐれも安全運転を、です。
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