おとめ座の探し方と神話〜春の大曲線と冥界の王ハデスの恋物語

おとめ座、星占いに使われる星座ですね。おとめ座生まれのかた、お聴きいただいてますでしょうか。

おとめ座は、春から初夏にかけての南の空にうかぶ、とても大きな星座です。
どのくらい大きいかというと、全天で2番目の面積があるんですよ。

とっても有名で、大きな星座、ではあるんですが、広い範囲に星がちらばっている上に、明るい星が少なくて、全体像をつかむのはかなり難しい星座なんです。
ただ、夜空を見上げて、あのあたりがおとめ座だな、と見当をつけるのは決して難しくありません。

おとめ座を探す、とは、イコール、1等星「スピカ」を見つけることだ、と思っていただいていいと思います。
スピカの見つけ方、もう何度もご案内してますよね。
はい、春の大曲線です。もうすっかり初夏ですが、春の大曲線、まだまだしっかり見えているんですよ。

ざっとおさらいすると、北の空に浮かぶ北斗七星。
この柄の部分のカーブを伸ばしていくと、まず東の空に明るい星があって、これがうしかい座のアークトゥルスという星。
さらにカーブをのばしていきますと南の空にもうひとつ明るい星に行き当たりまして、これがおとめ座のスピカ。
北斗七星からアークトゥルスをとおってスピカまでの大きなカーブが春の大曲線でしたね。

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←春の大曲線
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スピカは、日本では、その美しい輝きから、古く「真珠星」と呼ばれました。

また、この「スピカ」という名前もなんだかかわいらしい響きですし、純白の輝きがいかにも清純な乙女を思わせてくれます。

ですが、このスピカという言葉、本来は「とがったもの」という意味から来ていて、アスリートの使うシューズの底にスパイクってものがついてますよね、スピカとスパイクは語源が同じなんだそうです。

どうも、みめうるわしき乙女の星座にスパイクとはなんだか変だなあと思うんですが、おとめ座は、左手に麦の穂を持った、翼のある女神の姿をしていて、スピカが輝いているのは、麦の穂の先端にあたるんです。
なるほど確かに、麦の穂って、とがってますものね。

それにしても、左手に麦の穂を持った翼のある女神という、なんともロマンチックな姿です。
…ではあるはずなんですが、さきほどお話ししたように、スピカのほかにはあまり目立つ星がありません。

また、かりに空の条件がとてもよくて、すべての星を線で結ぶことができたとしても、なぜこの図形がそういう姿になるんだろう?って思っちゃうような星座なんです。
なので、正直なところを言うと、ぼくも「女神のすがた」として実際の夜空ではっきり把握できたことはないんです。

そんなふうに、全体像を描くのがかなり難しい星座ではあるんですが、とにかくスピカが非常に目立ちますので、まずはスピカを見つけていただいて、あれがおとめ座の星なんだ、と思っていただくのがいいんじゃないかと思います。

で、なおかつ、空がよく晴れていたら、スピカを基点にして、みぎ斜め上にかけて、アルファベットの「Y」の字をすこし崩したような感じに星が並んでいるのが分かるかもしれません。

このあたりがおおむね女神の上半身になります。
この、スピカを基点にしたYの字は、お天気が良ければ、住宅街程度の夜空でも見つけることができると思います。
ぼくも、ここを見つけて、あ、おとめ座だ、と、そんな感じで見ることが多いんです。
ぜひ探してみてください。

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←おとめ座の探し方
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また、この星座の付近には「おとめ座銀河団」よばれるものがあるんです。
これもなんだかロマンチックな響きですよね。

銀河団とは、たくさんの銀河がお互いの重力でまとまって大きな集団になっていることをいいます。
この宇宙には無数の銀河があるんですが、その分布を調べてみると、一様にまんべんなく広がっているわけではなく、こんなふうにあっちでまとまり、こっちでまとまり、しているんです。

そして、ぼくたちからいちばん近くにある銀河団が、このおとめ座銀河団なんです。
もちろん望遠鏡でないと見えませんし、いちばん近いといっても、それでもとんでもなく遠いんですけどね。

そうそうそれから、肉眼ではみることはできないんですが、スピカの近くにおもしろい天体があります。
その名も「ソンブレロ銀河」。

中南米の人たちが被る、ソンブレロという帽子がありますでしょう。
あれに姿が似ていることから、こう呼ばれています。とってもかわいらしい姿をしています。
「ソンブレロ銀河」で検索するとたくさん画像が見つかります。
興味をお持ちいただいたらぜひ探してみて下さい。

さて、ここからはおとめ座にまつわる物語についてお話していきます。

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