へびつかい座〜探し方と医学の神アスクレピオスの物語

今日は、夏の南の夜空に大きく立ちあがる巨人、医学の神、へびつかい座のお話です。

へびつかい座、と聞いて、どんな姿を連想しますか?アタマにターバンを巻いて、笛を吹くと壺のなかからコブラがにょろにょろ…っていうのは、まああれもへびつかいですけれど、この星座はそれとはちょっと違った姿。
大蛇をつかんだ巨人の姿です。

それから、星占いに興味のあるかたは、よく知られている12の星座にこの星座を加えた「13星座星占い」というものが提唱されていることでご存知かもしれません。

へびつかい座は、明るい星はあまりありませんが、意外に見つけやすい星座でもあるんですよ。
ではさっそく、この星座、さがしていきましょう。

目印となる星は二つ。
こと座のベガさそり座のアンタレスを探していきます。

まずはこと座のベガです。七夕の織姫の星でしたね。
七夕のころには東の空中程で輝いていましたが、このころは東の空、かなり高いところにきています。
東を向いて頭上を見上げれば、ひときわ明るく輝いているのがベガ、すぐ見つかると思います。
このベガに、わし座のアルタイルとはくちょう座のデネブとを加えたのが、夏の大三角でしたね。
この季節、東の空高くに大きな三角形を見つけたら、その頂点にいるのがベガです。

つぎに一つの目印、さそり座のアンタレスです。
さそり座の全体像についてはあらためて詳しくお話しますが、南の空のひくいあたり、そうですね、目の高さから、握りこぶし2つか3つ分ぐらい上のあたり。
ここに、赤く光る明るい星があるんです。
これがさそり座の一等星。アンタレス。
低いところにあるので、市街地など地上にあかりがたくさんあったり、建物などの障害物の多い場所ではちょっとみつけにくいかもしれませんが、南側が開けてさえいればすぐ目につく星です。

さて、ベガとアンタレスが確認できたら、その中間あたりに、やや明るい星がひとつ光っています。
2等星ですから、よほど空の明るい場所でない限り見つかるはずです。
これがへびつかい座で最も明るい星です。

この星から右下に向かって、アルファベットのAの字のように、開くように連なる星をたどっていくと、大きな将棋の駒のようなかたちができ上がります。
これがへびつかい座が表している巨人の胴体。結構大きいんですよ。
ですから、そのつもりで大きくつないでみてくださいね。
そのすぐ下に足があって、これでへびつかい座の完成です。
ただ、これだけだと、なんだか足のはえたダルマさんみたいで、ちょっとバランスが変なんです。

実は、この星座、もともとはもっと大きかったんです。
巨人の胴体の、ちょうど腰のあたりから左右に伸びている星のならびがありまして、これがこの巨人が掴んでいるヘビなんです。
この部分を、ヘビ座、といいます。

紀元2世紀ごろに星座が整理されたことがあって、その時、それまではヘビと巨人でひとまとまりだった星座を分割して別々のものとしたんです。

ですから、へび座というのは、へびつかい座をはさんで、右側の部分と左側の部分、右側がアタマで左側が尾なんですが、二つに離れ離れになっているという珍しい星座です。
ですが、まあ通常、この巨人とヘビはワンセットで見たほうがイメージとしてはわかりやすいです。

Ophiuchus-01
←へびつかい座の探し方
(gifアニメーション)クリックで拡大します。

さきほどお話したとおり、へびつかい座はとても大きな星座です。
ですから、実際に夜空で眺めてみますと、南の空の大部分がへびつかい座と言っても過言ではないくらいの大きさの迫力なんですよ。ぜひご覧になってみてください。

冒頭に言いましたように、この星座は医学の神様の姿をあらわしています。
ではここからはいつものように、星座にまつわる物語をご紹介していきます。

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