黄色い春

や~もうすっかり春!ですねえ。

そういえば、2月上旬、暦の上で春になってもまだまだ寒いころをさして『春浅し』といいますね。
あの「浅い」とはいったいなにが浅いのか。

もちろん、春になったばかりという感覚が込められているのだと思いますが、くわえて、金田一春彦先生の説によれば「色彩の浅さもあらわしているのでは」なのだそうです。

冬場は、特に雪の降る地方なら白一色ですし、そうでない地域でも多くの木々は葉を落としていて、四季の中では自然の中の色彩がもっとも少ない時期。

そこから春、夏と進むにつれて、野も山もしだいに色彩ゆたかな世界へと変わっていく。そのことをいいあらわしているのではないか、というんですね。

この説をずいぶん以前に読んで、なるほどと膝を打ったことをふと思い出したのが、つい先日。

うちの近くの川沿いの道…まあ堤防の上ですね、を散歩していましたら、タンポポがそこかしこに咲いているんです。わあっと群生しているところもありまして。

菜の花などもそうですが、黄色い花というのは春を感じる色だなあ、と感じて、それで先述の話を思い出したようなわけなんです。

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ただ、そのすぐあとで、いや待てよ、と思ったんです。
というのも、いま日本で見られるタンポポは大きく二種類に分けられるそうなんです。

古くから日本に生育している在来種であるニホンタンポポと、外国を起源に持つ外来種、近年は帰化植物というそうですが、こちらがセイヨウタンポポ。

で、なにが「いや待てよ」なのかといいますとですね、セイヨウタンポポは、条件さえ良ければ一年に何度でも花を咲かせるんです。

これに対してニホンタンポポは、開花時期が春の短い期間に限られています。

したがいまして、むろんセイヨウタンポポも気候がいいから咲いているんでしょうが「真に春の訪れを告げているのはニホンタンポポである」と、こうも言えるわけですね。

この二種の見分け方は、花を下から支えている緑色の部分。

普通この部分を「萼(がく)」といいますが、タンポポの場合は、ひとつの花のように見えるのは沢山の小さな花の集まりで、なので用語が違うんですが、そこに入り込んでいくと話がややこしいので、まあとにかく、その、花の下の緑色の部分が、反り返って下を向いているのがセイヨウタンポポで、すぼまって上を向いているのがニホンタンポポなんです。
(ただし、交雑種もあって、その場合は見分けが難しいそうですが…)

で、セイヨウタンポポのほうが繁殖力が高いものですから、数としては在来種を凌駕しているのですが、と言ってニホンタンポポが駆逐されてしまったわけでは決してなく、数のバランス上少なく見えるのだ、という話を聞いたことがあったものですから、これはチャンスとばかり、花の裏側をチェックしてみたんです。

そうしましたらねー。
いるいる、ちゃんとニホンタンポポ、いるんです。
おおー、頑張ってるなあ、と、思わず声を掛けたくなりました(^^)

この他にも、小さな黄色い花をつけた植物が群生しているところも何箇所かありましてねえ。
(うちに帰って調べたら、おそらくセイヨウアブラナかセイヨウカラシナ、もしくはその両方らしく…野に咲く花の名前、もっと知っていたいものですね)

なんだか「黄色い春」を満喫したひとときでありました。
季節を感じる色って、いいですね。

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