かんむり座〜探し方とアリアドネーのティアラ

今週は、夜空に輝く星のティアラ「かんむり座」のお話です。

「かんむり座」は、ちっちゃくて地味なんですが、なぜか目をひく星座です。
形もシンプルなので一度見つけてしまえばとってもおぼえやすい星座なんです。

ただ、明るい星の集まりではないんです。なので、空の明るい場所で見つけるのは難しいのがちょっと残念です。
空の暗い、星の綺麗な場所へ行く機会があったらぜひ探してみていただきたい星座です。

ではその探しかたですが、いつもの「春の大曲線」から見ていきます。季節はもうすっかり夏、ですけれども、春の大曲線、まだまだしっかり見えています。
北斗七星からスタートするんでしたよね。

今の季節、北斗七星は、夜の8時か9時くらいですと、北の空、高いところにいます。ですから、北を向いて、視線を上にあげていけば、すぐ見つかります。

この北斗七星の、ひしゃくの柄の部分のカーブを延ばしていくんでしたね。そうしますと、まず、先日お話しした、うしかい座の1等星アークトゥルスがあります。
全天で3番目に明るい星、とってもよく目立ちます。

そして、アークトゥルスからさらにカーブを延ばしていくと、「おとめ座」の1等星スピカに行きあたります。スピカも明るい星ですよ。
この、北斗七星から、アークトゥルス、スピカとたどっていく大きなカーブ、これが、「春の大曲線」でしたね。

今日、目印に使うのは、アークトゥルスとうしかい座です。 うしかい座のメイン部分は、幅広のネクタイのような形をしています。
いまの時期、夜の8時から9時ごろですと、ほぼ天頂部、つまり真上に浮かんでいます。

南を向いてから真上を見上げたとすると、このネクタイの形は、アークトゥルスを起点にして、ひだり斜め上の方向にむかっのびています。
これがわかったら、そのいちばん幅広のあたりに注目します。かんむり座は、ここのすぐ隣にあるんです。

いま、隣にある、と言いました。隣といったらたいがい右隣か左隣かになるわけですが、星空の場合、ある星が別のある星の右にあるのか左にあるのか、あるいは、上にあるのか下にあるのかっていうのは、実はすごくここややこしいんです。

ややこしいんだけど大事な話なのでちょっとここでご説明します。 さっき「南を向いてから真上を見上げたとするとひだり斜め上」と言いましたけれども、これ、最初に向いていた方角もしも東だったとしたら「ひだり斜め下」になっちゃいます。
体がどっちを向いているかによって、見上げた空の中での上下左右って変わっちゃうんですね。

また、星というのは、時間を追って、全体が大きく東から西へ回転していきます。その動きかたも重要で、たとえば、東から上ってきた時に上下に並んでいる2つの星があるとします。
その2つの星は、南の空高いところまでのぼって来ると、横に並ぶんです。位置関係を保ったま移動していくのでこうなるんです。イメージいただけますでしょうか。

 で、西に沈むときはまた上下に並ぶんだけど、こんどは上と下が逆になるんです。先に昇ってきたほうが先に沈むわかけだから。こんなふうに、時間帯によっても上下左右が変わってしまうんです。

ことほどさように、星の位置関係は上下左右ではきちんと言いあらわすことができません、そのため、正確に現すためには「東西南北」を使います。

というわけで正確に言い直しますと、かんむり座は、うしかい座のいちばん幅広のあたりの、すぐ東隣にあるんです。

で、ぼくらは今、南を向いてから真上を見上げてうしかい座を見ているんでしたね、このばあいの「東」は「むかって左」ということになるわけです。
ちょっとややこしい話をしてしまいましたが(汗)

とにかく、南を向いてから見上げているとして考えていきます。ネクタイの幅広のところのすぐ左隣のあたり、あるいは、アークトゥルスがとにかく目立ちますから、アークトゥルスから見ていってもいいです。

アークトゥルスからはナナメ左上の方向になります。このあたりに目をやりますと、星がクルンと丸いかたちに、ちょうどアルファベットの「C」の字を裏返したみたいなかたちに集まっているところがあるんです。
これが、かんむり座です。

今ごろの夜の8時か9時ごろであれば、ほぼ天頂あたりに見えていいますから、とにかく真上の空をさがして、この形がみつかれば、それがかんむり座です。

とってもかわいらしい形と大きさの星座です。大きさはですね、腕をいっぱいに伸ばして人さし指と親指で輪を作る、これとだいたい同じぐらいのサイズになります。
そして、真ん中辺あたりにちょっと明るめの星がありまして、これがちょうど宝石が飾られているようにも見えるんです。ほんと、ああ、冠だ、って思いますよ。ぜひ見つけてみて下さい。

↓探し方動画です。
Corona_Borealis-01

この星座、完全な円を描いていなくて、3/1ほどが欠けたようなかたちになっています。
そんなところが、ぐるっと一周するような、いわゆる「王冠」というよりは、女王様や王女様のつけるティアラを連想させてくれます。

じっさい、この星座は、ギリシャ神話では、豊穣とぶどう酒の神ディオニュソスが、クレタ島の王女に贈った冠だとされているんです。
では、その、かんむり座にまつわる物語をご紹介していきましょう。

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