木星〜太陽系最大の惑星・ゼウスの星〜ゼウスの神話

ポスター 太陽系 Solar System

満月の前後は月がとっても綺麗です。
でも、そのかわり、月明かりのため、星はちょっと見えにくい状態です。

なので、そんな時期はいつも、月についてや太陽系についてのお話しをお届けしています。
今日は、太陽系最大の惑星、木星についてのお話です。

 

木星は、月明かりのなかにあっても見える明るい星です。
ですから、むしろ他の星が見えにくい分、こうした時期は判別しやすいとも言えるんですよ。

さて、惑星、という存在はたいへん古くから知られていました。

星座をかたちづくっている星たちが、互いの位置関係を変えずに、一団となって空を移動していく、だから星座はカタチを変えないのですが、それとは違う、一見不規則な動きをすることから、惑う星=惑星と呼ばれるようになったんです。

なぜ不規則に動いているように見えるかというと、地球とおなじように太陽の周りを回っているからなんです。

太陽を回る軌道上のどの地点にいるかによって、地球から見える方向が変わっていく。なので、星空の中を動いていくように見えるんですね。

今、木星は、ふたご座の方向にありまして、ちょうどオリオン座の長方形の対角線の延長線上のような位置にいます。

オリオン座の長方形の、向かって右下の一等星リゲル、そして、向かって左上の一等星、ベテルギウス。
この二つの明るい星を結んだ先、ですからオリオン座から見たら左ナナメ上ですね。
ここにちょっとオレンジ色がかったような明るい星がありまして、これが木星です。

リゲルもベテルギウスもとっても明るい星です。3つの明るい星が、ほぼ等間隔にちかい感じで並んでいますから、すぐに分かりますよ。

jupiter
↑2014年冬の木星の位置(年によって変わっていきます)

さて、古代から知られていた、つまり肉眼で見える惑星は、ぜんぶで5つあります。太陽に近い方から、水星、金星、火星、木星、土星です。

このうち、いちばん大きいのが木星です。どのくらい大きいかというと、直径は地球のおよそ11倍、体積はおよそ1,300倍。

ものすごいのがその質量。なんと、太陽系の木星以外の惑星全てを合わせたものの2倍から2倍半ほどに相当するという、とてつもなく巨大な惑星なんです。

太陽系の惑星には、神話からとられた名前がついていまして、木星は、ジュピターといいます。
ジュピターとは、ローマ神話の神様の名前で、ギリシャ神話ではゼウスにあたります。
もう何度となく登場していますね、オリムポスの神殿に住む神々の王です。ギリシャでは、木星は「ゼウスの星」と呼ばれていたんです。

木星というのは、太陽と月を除くと、空で二番目に明るい天体です。
いちばん明るいのは金星、そして、火星が地球に接近するとき、もっと明るくなるんですが、ただ、金星は明け方か夕方か、どちらかにしか見えませんし、火星も普段はそこまで明るくはありません。

ですから、夜通し輝いている星のうちではもっとも明るいのが木星ということになりますね。
だからこそ、神々の王であるゼウスの名を付けたんでしょうけれど、じつは大きさにおいても惑星のなかで飛び抜けて大きい、そこまでは昔のひと、知らなかったでしょうからね。不思議な偶然だと思います。

さて、木星にはじつに沢山の衛星があります。現在では70個近くもの衛星が知られていますが、そのおもだったものには、ゼウスの愛人たちの名前がつけられています。

まあとにかくたいへんな浮気者の神様でしたから、名前のネタにはことかかないんじゃないかと思いますが、だた、例外もありまして。
その一つが、現在知られているうち、内側から3つ目の衛星、アマルティーア。

アマルティーアは、ぎょしゃ座のお話をした際にもちょっと登場しました、ゼウスの乳母、つまり育ての親の名前です。
なんか、こういう人物の名前の衛星があまたの愛人たちよりも近くにいる、というのはちょっとこう、心温まるような感じがしますね。

で、また別の例外として、内側から13番目の軌道をまわる衛星は、長く「ヘラ」と呼ばれていました。ヘラはゼウスのお妃ですね。

木星には特に大きな4つの衛星がありまして、発見者にちなんで「ガリレオ衛星」と呼ばれているんですが、この4つには思いっきりゼウスの愛人の名前がついてます。
そうした巨大衛星たちよりも、ずっと小さくて目立たない衛星に奥さんの名前がついているというのはちょっとどうよ、というわけではないんでしょうけど、結局この名前は正式には採用されませんで、現在ではエラーラという名前になっています。
でもこれ、やっぱりゼウスの愛人の名前なんですね。

じゃあヘラはどうなっちゃったのか、といいますと、実は、以前から、小惑星(火星と木星の間にたくさんあって太陽のまわりを回っている小さな天体群)の中に、ヘラという名前のつけられたものがあるんです。
混同をさけるために、木星の衛星のほうは名前が変わったんですね。

また、ヘラのローマ神話での名前であるジュノーという名のついた小惑星もありまして、こちらは小惑星のなかでもかなり大きい部類に入ります。

小さな天体とはいえ、他の惑星のまわりをまわる衛星より、同じように太陽のまわりを回っている小惑星のほうがいい…かどうかは、ぼくはノーコメントです、はい(^^;

では、ここからは、ゼウスにまつわるお話をごご紹介していきます。

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