今日は、天からダイナミックに急降下する巨大な猛禽、わし座のお話です。
北半球で見ることができる星座たちのうち、鳥の姿をしているものは4つあります。
まず、春の星座である、からす座。それから冬の星座で、はと座があります。
そして夏の夜空に羽ばたくのが、今日お話しする「わし座」そして「はくちょう座」のふたつです。
からす座とはと座は小さな星座ですが、わし座とはくちょう座はどちらも大きな星座で、しかもとなり合うくらいに近い位置にあるんです。
4つある鳥の星座のうち、大きな星座二つが、夏の夜空に、競いあうようにして翼を広げている。
面白いですよね。
わし座は、じつをいうと、ああ、あそこに鷲が飛んでいるな、というふうにその姿の全体像をとらえるのはちょっと難しいんです。
ですが、非常に目立つ星を含んでいて、存在を見つけるのはとても簡単な星座です。
ではさっそくわし座をさがしていきましょう。
非常に目立つ星、とは、一等星アルタイル。
こと座のベガとともに、七夕の星ですね。
ベガがおりひめ、このアルタイルがひこぼしです。
この二つの星に、白鳥座のデネブをくわえたのが、夏の大三角でしたよね。
夏の大三角、夜の8時から9時ごろを基準に考えると、6月の後半頃から東の空に見え始めていて、今の時期は、東の空かなり高いあたりまで来ています。
夜の8時から9時ごろ、頭上を見上げれば、明るい星でできた大きな三角形がすぐ目に付きます。
これが夏の大三角です。
夏の大三角、3つの星でできているわけですが、このうちアルタイルはどれかを今日はぜひおぼえて下さい。とっても簡単です。
夏の大三角は、正三角形ではなくて、ぼくはいつも、長いほうの三角定規に例えるんですが、ひとつの角が伸びてとがっています。この長いとがった角にある星、これがアルタイル、ひこぼしです。ね、簡単でしょ。
アルタイルがわかったら、そのすぐ周りを見てみます。
そうすると、両側にひとつずつ、アルタイルをはさんでほぼ一直線になるように並んでいる星があるんです。
この三つの星がわし座の中心部で「夏の三ツ星」とも呼ばれています。
この三ツ星から四方に、ちょっと歪んだ十文字のかたちに星をつなげていくと、わし座の完成です。
けっこう大きな星座なんですよ。
ちょうど天の川を突っ切るようにして、下向きに、今にも獲物を捕らえるかのように急降下する大鷲の姿です。
ただ、はじめに言ったように、星ぼしの並びからこの大鷲の姿を想像するのはちょっと難しいんです。
ぼくもいつも、なかなかイメージがつかめないんです(^^;
これにはちょっと理由があって、わし座という星座じたいは大変古い星座で、はるかな古代、バビロニア、シュメールの時代から伝えられる古い星座です。
ただし、この当時は、先ほどお話しした「夏の三ツ星」の部分を、空の高いところで翼を広げて飛ぶわしと見ていたようなんです。
それが、まわりの星をくわえて現在のように大きくなったのが19世紀のことなんです。
そのせいか、星座絵を見ても、作者によって姿が違っていたりもしますし、星を結ぶ線も、上記のようなXがたのほかに複数の解釈があるようです。
星の並びを見てもいまいちピンとこないのも、無理からぬことかもしれませんね。
ぼく個人としては、「夏の三ツ星」がわかれば、あとは無理に形をつながなくてもいいかも、なんて思ったりもします。
ですから、まずは、「夏の三ツ星」。
おさらいしますよ、夏の大三角の長い角の星アルタイルと、そのアルタイルをはさんで並ぶ二つの星。
これを見つけていただいて、あのあたりがわし座なんだな、と思っていただくのがいいんじゃないかと思います。
(gifアニメーション)クリックで拡大します。
では、いつものように、わし座にまつわる物語についてお話していきます。