さそり座の探し方とハワイ神話「マウイ」の物語

さて、さそり座です、夏を代表する星座のひとつ。そしてもちろん、星占いに登場する星座でもあります。さそり座生まれの方、お聴きいただいていますでしょうか。

さそり座は、有名だし、とても形がととのっていて分かりやすいし、明るい星もたくさんある星座なんですが、いかんせん、空の比較的低いところにある星座です。なので、市街地などで、地上にあかりがたくさんあったり、建物などの障害物の多い場所ではちょっとみつけにくいのが残念なところです。

ですが、さそり座のアルファ星、赤く光るアンタレスはとても目立つ星です、南側が開けた場所であれば、すぐに見つかります。 では、この赤い星、アンタレスから見つけていきましょう。

さそり座は今の時期、暗くなってきたころ、おおむね8時ごろ、真南の空にいます。ですので暗くなったらまず南を向きましょう。そして空の低いところ、そうですね、目の高さから、握りこぶし2つか3つ分ぐらい上のあたりを見ます。するとそこに、赤く光る明るい星がみつかるはずです。これが、アンタレス。簡単に見つかりますよ。

アンタレスは「さそりの心臓」にあたる星です。本当に赤い色をしていて、肉眼で見える星の中では全天で最も赤いという、とても目立つ星です。 ただし、今年、2014年の夏は、南西の空、ひくいところに、おなじくとても赤い色をした星、火星が来ているので混同しないよう注意が必要です。

そもそも、アンタレスというよび名は、「アンチ・アレース」という言葉からきています。アレースというのはギリシャ語で火星のこと。つまり「アンチ・アレース」とは「アンチ火星」、火星に対抗するもの、という意味。まるで火星と赤さを競い合っているようだというのでこういう名前がついたんですね。

先ほども言ったように、いまの時期、夜8時で考えると、アンタレスはほぼ真南、火星は今、南西の空にあります。ですから、南から西にかけて低い空で赤い星が2つ見えるんです。そうしたら、向かって左がアンタレス、右が火星とおぼえておいて下さい、ただしこれは「今2014年の場合は」ですからね、これはお忘れなく。

惑星というのは星々の間を動いていきます、そして、こんなふうに何年かにいちど、火星がアンタレスのそばにやってきます。互いに競いあうような赤い星の揃い踏み。この夏、ぜひごらんになってください。

ちなみにもっと古く、アラビア語では「さそりの心臓」と呼ばれていました。まさに星座のとおりですね。また中国では、大きな火、と書いて大火(たいか)と呼んで、赤く燃える火に例えています。

また、わが国ではふるく、赤星(あかぼし)と言いまして、そのまんまじゃん、と思いますが、それだけこの星の赤さが際立っているということでもありますね。あるいは、お酒に酔っ払った人の赤い顔にたとえた「酒酔い星」なんていうよび方もありまして、いずれにしても、この星の赤さがいかに特徴的であるかを表していますよね。

ちなみに、この星が赤く輝いて見えるのは、表面の温度が低いからです。温度が高い星は青白くみえるんです。ガスの炎も青白く見えますよね、あれと同じです。アンタレスの表面温度は太陽の半分ぐらいしかありません。

それでもこれだけ明るく輝いて見えるのは、アンタレスがとてつもなく大きいからです。どのくらい大きいかというと、直径は太陽の600倍ないし800倍。もしわれわれの太陽の位置にアンタレスを置いたとすると、地球はかるく飲み込まれてしまう、というくらいの巨大な星、だからこその輝きなんです。

さて、アンタレスが見つかったら、そのすぐ右に、3つか4つぐらいの星が縦に並んでいるところがあるんです。これがさそりの頭になります。

つぎに反対側、アンタレスから左下に目をやっていきますと、いくつかの星が、ちょうど釣り針のような形に並んでいます。これがさそりの尾、毒針の部分です。本当に釣り針のように、先端のところでちいさく鍵型に曲がっているんですよ。

そして、この釣り針の先端部分は、これは条件のいい夜空でないとわからないのがホントに残念なんですが、天の川の中へさしこまれています。なので別名『天の釣り針』とも言われて、日本でも古くは「うおつりぼし」という呼びかたもありました。

星座ぜんたいを見渡しますと、さそり座は、大きなS字がたをしていまして、冬のオリオン座とならんで最も均整のとれた美しい星座といわれています。

そして、さそり座は明るい星がたくさん含まれる星座でもあります。市街地でも比較的よく見える三等星以上の明るさを持つ星が12個も含まれていまして、これは全天で88ある星座の中で最も多いんです。ほんとに明るくてきれいな星座です。ぜひご覧になって下さいね。

では、いつものように、さそり座にまつわる物語をお話していきます。

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