夜空をかける天馬、ペガスス座(秋の四辺形)の探し方〜天馬ペガサスと勇者ベレロフォンの神話

今日は、秋の星空の目印となる「秋の四辺形」そして、夜空をかける天馬、ペガスス座のお話です。

いよいよ秋も深まってきた感のあるこの時期、星空のほうも、すっかり秋の星座たちが主役になっています。
それぞれの季節ごとに、春の大曲線、夏の大三角と、星座を探すための目印になる星の並びをご紹介してきましたが、秋の夜空の目印は四角形です。なぜか四角形とはいわずに四辺形といいまして『秋の四辺形』もしくは『ペガススの四辺形』と呼ばれています。

今の時期、夜9時頃、真南の空の高いところに、4つの星が大きな四角形に並んでいるのが見えます。完全な正方形とまではいかないものの、かなり整った形をしています。

春の大曲線や夏の大三角は明るい1等星で構成されていましたが、秋の四辺形は2等星と3等星でできています。
ですから、春や夏にくらべるとちょっと地味な存在ではあるんですが、でも、秋の星空には、明るい星があまり多くないこと、そして、空気も澄んできているおかげで、けっこう目立つんです。
明かりの多い市街地であっても、よく晴れた夜であれば、見つけること、できると思いますよ。

一度見つけてしまえば次からはすぐに目に付くようになります。
探すコツとしては、意外と大きいことと、真上までは行かないけれどかなり高い空にあること、それから、さっきも言いましたが少しだけゆがんだ正方形で、そして、それぞれの辺がほぼ東西南北を向いています。
これを覚えておくといいと思います。今の時期、夜9時の天高く、ぜひ探してみて下さいね。

昔の人々もこの四角形に注目して、いろいろな見方をしてきました。
たとえば日本では、お米やお酒なんかを測るマスに見立てまして、「枡形星(ますがたぼし)」という呼び名が伝えられています。
この四角形、内側には星があまりなくて、ただ四角い枠があるだけ、みたいに見えますので、よく似合う呼び方だと思います。

また、この形は『ペガススの四辺形』とも呼ばれます。
これは、この四角形がペガスス座という星座の一部になるためです。

ギリシア神話に登場する天馬ペガサス、翼をもった白馬の姿をあらわした星座です。
星座の名前はペガスス座というんですが、一般にはペガサスといいますよね。
ここ、ちょっとややこしいんですが、「ペガサス」というのは英語読みでして、本来のギリシャ語での発音は「ペガソス」っていうんだそうです。
でもって、星座の名前はこんどはラテン語読みをしまして「ペガスス」になるんです。

さてそのペガスス座ですが、秋の四辺形が、胴体にあたります。
向かって右下の角からななめ右下に向かって、首の部分にあたる星がつらなっています。
そして向かって右上の角からななめ右上にむかって、二本のまえ脚に相当する部分がのびています。

いま、「ななめ下に首」が、「ななめ上に足」が、といいました。
じつは、この星座、上下が逆さまになっているんです。逆さまではあるんですが、条件のいい夜空で全体の形を掴むと、たしかに、あ、なるほど馬だ、という星のならびになっているんですよ。

ただし、この星座、実は胴体から後ろがありません。
前半身といいますか、おなかのあたりから前の部分だけが星座になっています。

なぜ半分しか見えていないのか、には、いくつか説がありまして、たとえば、あまりに早いスピードで飛んでいるから見えなくなっているとか、あるいは、天高く飛んでいるため後ろ半分が雲に隠れているのだ、などといわれています。

いずれにしても、逆さまになっていることにさえ気をつければ、空に羽ばたく天馬のすがた、イメージと実際の星の並びとがかなりよく合致する星座のひとつです。

pegasus
←ペガスス座の探し方
(gifアニメーション)クリックで拡大します。

そして、この星座のもう一つの特徴は、別の星座とつながっていることです。
ペガスス座は、あの有名なアンドロメダ座とつながっているんです。

四辺形のむかって左上の角の星、名前は「アルフェラッツ」といって、この名前はアラビア語で「馬」を意味する「アル=ファラス」が語源で、さらに別名である「シラー」は、やはりアラビア語で「へそ」意味する言葉に由来するそうです。

もし全身の姿がえがかれているとしたら、このあたりから後ろ足がのびていそうな位置になるので、まさにおへそなんですが、この星は現在の分類ではペガスス座の星ではなく、アンドロメダ座に属しています。

この星が、鎖に繋がれた王女アンドロメダの顔にあたるんですが、お姫さまの顔なのに、「へそ」というのも変なんですけどね。
おそらく本来はペガスス座の星だったのが名前だけそのままになってるんでしょうね。
もしかしたら、このペガサス、元々は全身があったのに、うしろ半分をアンドロメダ姫にとられちゃったのかもしれません。

ところで、この星座には興味深い星があります。ペガスス座51番星といって、四角形のすぐ脇にある、肉眼ではちょっと見つるのが難しい星なんですが、この星は1995年に惑星の存在が確認された星なんです。
秋の星空の目印のすぐそばにそんな星があるんですねえ。

では、ペガスス座にまつわる物語をご紹介していきます。

タイトルとURLをコピーしました