今日は、この夏、南の空で見られる明るい星の揃い踏み、そしてその中にある「てんびん座」についてのお話です。
「てんびん座」。この星座の名前はご存知の方たくさんいらっしゃると思います。
星占いでつかわれる星座のひとつですから、てんびん座生まれのかた、お聴きいただいていますでしょうか・・・
とはいっても、じっさいに夜空を見あげて、あれがてんびん座、と指差せる方はあまりいらっしゃらないかもしれません。
この「てんびん座」、あまり明るい星の集まりではありませんし、また、あまり大きな星座でもないんです。ですが、このところお話している小さな星座たちとおなじように、一度見つけさえすれば、かなり覚えやすい星座なんですよ。
ただ、市街地など夜空の明るい場所で見つけるのはかなり困難です…、これは本当に残念なことなんですけれど。
では、てんびん座をさがしてみましょう。てんびん座を見つけるには、おとめ座のスピカ、そしてさそり座のアンタレスという、ふたつの明るくて目立つ星をみつけて、これを手がかりにするのが基本の探し方です。
ですが、この夏はこの近辺に火星と土星、2つの惑星が来ていまして、ふだんとちょっと違う星の配置になってるんです。
なので、まずは今南の空がどうなっているのか、そこからお話していきます。
惑星というのは、何度もお話しているように、星空の中で位置を変えていく星で、かつ、これもまた機会があったらじっくりお話したいのですが、星占いで使われる星座の中を移動していきます。
てんびん座、おとめ座、さそり座、みんな星占いの星座ですよね、こうした星座には、時として惑星がやってくるわけです。
この4つの星、次第に西に移動していきながら、夏の終わりごろまで見えていますから、この夏、ぜひご覧になってください。
というわけで、例年に比べて若干説明がややこしくなっちゃいますが、探していく順番としては、おとめ座のスピカからがいいと思います。
もう何度もご説明している「春の大曲線」の終着点にある星でしたよね。
北斗七星のひしゃくの柄の部分を伸ばしていって、うしかい座のアークトゥルスを通って、おとめ座のスピカまでたどる大きなカーブ。これが春の大曲線でした。
スピカは、今夜の8時から9時ぐらいですと南西の空、中ほどの高さにあって、明るく目立っています。
そして、7月の中旬くらいまで、スピカのすぐ近く、右斜め上あたりで火星が光っています。
スピカは純白の星、火星は赤い星ですから、色で簡単に見分けがつきますよ。
そして、スピカから左、水平より少し下のあたりに視線をもっていくと、やや黄色がかって輝く明るい星がありまして、これが土星です。
そして、土星からさらに左、今度はちょっと斜め下のあたりを見ると、やや低い所に、赤く輝いている星がありまして、これがさそり座の心臓にあたる星、アンタレスです。
整理しますと、向かって右から左、つまり西から東へ、順に、赤い火星、純白のスピカ、黄色っぽい土星、そして赤いアンタレス、一直線ではなくてちょっとカクカクっとしてますが、4つの明るい星の揃い踏み。見ものですよ。
そして、この中で、火星がどんどん動いていくのも見ものなんです。
今、スピカのやや右上にある火星は、これからだんだんスピカにちかづいてきます。
7月の半ば、14、15、16日と言ったあたりには最も近づいて、ほぼ隣り合って見えます。
そしてその先、7月の下旬からは火星はスピカと土星の間に入ってきます。
そして8月の下旬にかけて、土星の下に回りこんでいきまして、その後は木星とアンタレスの間に入ってきます。
こんなふうに日を追って火星を見ていくと、惑星って動いているんだってことがとってもよく分かるんですよ。おすすめです。
さて、では今日の星座、てんびん座はどこにあるかと言うと、おとめ座のスピカとさそり座のアンタレスのほぼ中間あたり。
で、今年はちょうどここに土星がいますから、すなわち、土星がわかったら、その回りがてんびん座です。
もう少し詳しく見ると、土星がないものだと思ってこのあたりをよく見ると、あまり明るくはないので見つけにくいんですがひらがなの「く」の字を裏返したような形にならんでいる星の列があります。これがてんびん座です。
この「くの字」だけでは、天秤に見えないんですが、じゅうぶんに空が暗い場所で見ますと、もうひとつ星を加えて、「コの字がた」に星をつなぐことができるんです。
この「コの字」がわかりますと、ちょっとナナメに傾いていますが、夜空に浮かぶ天秤ばかり、あのう、理科の実験で使ったような、下から支えるタイプじゃなくて、棒の両端にお皿を二つぶら下げたタイプのてんびんばかり、あの形がイメージできると思います。
条件は厳しいものの、いちど見つけておくと次からはすぐわかるようになる、覚えやすい星座です。 では、いつものように、てんびん座にまつわる神話についてお話していきます。