七夕の星を見つけよう〜夏の大三角&織姫と彦星の物語

さて、七夕伝説、織姫と彦星の物語。これは本来、中国から伝えれられたお話です。
おりひめは織女(しょくじょ)、ひこぼしは牽牛(けんぎゅう)、この二人の物語です。

むかしむかし、天帝という神様が星空を支配していたころ、天の川の西の岸辺に、天帝の娘で織女という女性が住んでいました。
織女は機織りがたいへん上手で、毎日機織りに精を出していました。
彼女の織る布はそれはみごとで、五色に光り輝き、丈夫で着心地もいいという、たいへん素晴らしいものでした。

一方、天の川の東の岸辺には、牛飼いの青年、牽牛が住んでいました。
牽牛は、毎日、天の川で牛の体を洗ってやったり、岸辺のおいしい草を食べさせたりと、牛の面倒をよくみる、働き者の青年でした。

天帝はふだんから娘の働きぶりにたいそう感心していました。
ですが、年頃の娘なのにもかからわず、お化粧一つせずにくる日もくる日も働いてばかりいる織女。
そんな彼女を心配した天帝は、結婚相手をさがすことにしました。

そして、天の川の向こう岸に住む牽牛をみつけると、「これはいい青年だ」と、二人を引き合わせ、結婚させることにしました。
こうして織女と牽牛の二人は、新しい生活を始めました。

ところが、一緒に暮らすようになると、二人は朝から晩まで天の川のほとりでおしゃべりをしてばかり。
二人とも、仕事をすっかりしなくなってしまいます。

天帝も始めのうちは新婚だからと大目にみていましたが、いつまでもそんな有様が続くと眉をひそめざるを得ません。

「おまえたち、そろそろ仕事をはじめたらどうだ?」と戒めるのですがが、二人は「はい、明日からやります」と返事だけはいいのですが、いつになっても仕事をはじめるようすがありません。

織女が布を織らなくなってしまったため、機織り機には埃が積もり、天上界にはいつになっても新しい布が届きません。
また、牽牛が世話をしていた牛たちも、すっかりやせ細ってしまいました。

業を煮やした天帝はとうとう、二人を引き離してしまいます。
そして、「心を入れ替えて一生懸命仕事をするなら、1年に1度、7月7日の夜にだけ、会うことを許してやろう」と申し渡しました。

それ以降、自分たちの行いを反省した二人は、年に1度の再会を励みに、以前のように織女は機織りに、牽牛は牛の世話に精を出すようになりました。
こうして、二人は今でも、互いの仕事に励みながら、指折り数えて7月7日の夜を待ち続けている、といいます。

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ところで…。
二人が待ち焦がれている7月7日にもし雨が降ったら。
天の川の水かさが増して、織女は向こう岸に渡ることができなくなってしまいます。
二人は天の川の両岸にたたずみ、互いに切ない思いを交しながら川面を眺めて涙を流すしかありません。

そんな時には、二人を見かねて、どこからともなくかささぎの群が飛んできて、翼を並べて橋となり、織女を牽牛のもとへ渡す手助けをしてくれるのだともいいます。

ただし、この話にはバリエーションがあって、晴れたらかささぎが橋となって2人を会わせてくれるのだとも言いますし、また、七夕に雨が降るのは、久しぶ りに牽牛に会えた織姫が流す嬉し涙なのだ、という説もあったりします。
さらには、七夕に曇るのは、会えた二人が周囲に見られないように隠れてしまうから、なんて説もあったりするんですよ。
あなたはどの説がお好きですか?

いずれにしても、7月7日といいえば、梅雨の真っ最中、どちらかといえば雨の確率が高いです。
ですから例年、この時期に織姫と彦星を見ることはちょっと難しいのが現実です。
ではなぜ、天候が悪いこの時期に七夕の行事があるのか、といいますと、じつはこれ、現在は暦が変わってしまっているからなんです。

もともとの七夕は旧暦の7月7日に行われていたものなんです。
旧暦と現在の暦はおおむね1か月ほどずれています。
なので七夕も、本来よりもおよそ1か月早い時期におこなうことになっているんですね。

旧暦の7月7日、これを「伝統的七夕」ともいって、今年2014年は8月2日にあたります。
ぜひ覚えておいてください。

《2021年〜2030年の伝統的七夕》
2021年 8月14日
2022年 8月4日
2023年 8月22日
2024年 8月10日
2025年 8月29日
2026年 8月19日
2027年 8月8日
2028年 8月26日
2029年 8月16日
2030年 8月5日

国立天文台より

この伝統的七夕のころの夜空は、南から北にかけて天を横切るように天の川が流れています。
そして頭上たかいところ、天の川の両側にべガとアルタイルつまり織姫と彦星。
また、天の川の川下には、上弦の月、半月がかかっています。
旧暦の場合、毎月7日はかならず半月になるんです。
古くは、この半月を天の川の渡し船とも例えていたんですよ。

これは毎年言っていることですが、新暦と旧暦のどっちが正しいとかいうよりも、どうせですから、両方楽しんじゃうのがいいと思います。

夏場、全国各地で七夕祭りが行われますが、これには新暦の七夕に行われるものと、伝統的七夕に合わせたものと、大きく2種類にわかれています。

たとえば、清水七夕まつりは新暦に合わせての開催。

また、有名な仙台の七夕祭りは毎年固定されていて8月6日から8日にかけて行われ、これは、伝統的七夕の時期にできるだけ合うように、ということだと思います。

あるいは、商店街ごとの七夕イベントなども、新暦に行われるもの、旧暦で行われるもの、両方あります。

ですから、まずは新暦の七夕、少しでも空が晴れているようでしたら、夏の大三角、べガとアルタイル、ぜひ探してみませんか。
そして、8月にやってくる伝統的七夕。
この日もぜひ夜空を見上げてください。
頭上に流れる天の川の岸辺を見つめて、織姫と彦星に、あなたは何を願いますか?

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